ねずみ
根岸 薫

濃縮されかけ
広かった
集合のあとのゆうべ
くらむ
景色と
寒さのなかに
伸びる指先の
ひどく ながい
影の はやくとどけ
のりものにのるから

てのひらの
離れないと
しるしも
赤いままで
汗ばみ
一月のつめたい夜のあいだ

    そのために
    ひかる両の目

安全で
とても賢い
ねずみの息と
冷えた手足

上着と
ドアをくぐる
来るために来た
今以上
このちいさくて
うれしがる
ふるえるからだが
おちる場所など
ほかにどこにもないのだからと



自由詩 ねずみ Copyright 根岸 薫 2011-11-25 21:43:09
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