柿の木のある家
西天 龍

今年も庭の柿がたくさん採れたから
喜ぶ顔思い浮かべて
孫のところに送ろうと思うの
若い頃のあなたは
荷造りが上手だったわね
どんな大きな荷物でも
まるで手品のように紐をかけた
でも、今はガムテープだから
私一人でも大丈夫

上の子は来年就職して家を出るんですって
私もおばあちゃんになるわけね
あなたが逝って7年目の秋
思い出の中のあなたは
ずっとあのときのまま

柿の木のある大きな家
子供たちが巣立ち
あなたも長い旅に出たままの家
縁側でひとり
流れる雲にあなたを思う
すこし寂しいけどひとりじゃない
今でもあなたのことが大好き
それが私の生きている証

少し寂しいけど
思い、思われ
ひとりじゃない
思い、思われ
決してひとりじゃない


自由詩 柿の木のある家 Copyright 西天 龍 2011-11-24 00:12:58
notebook Home 戻る