いまは禁酒している人のための歌
天野茂典
さみしくないなんて人はいない
哺乳類人類なら知っている
口に出していわないだけだ
言ったって仕方ない どうにもならない
人類は壊れた機械のようにさみしい
ときがある そんなとき人類はどうして
いるのだろう 宇宙空間に一人取り残された
ようなさみしさをこらえているとき
人類は洞窟で家族と過ごすのだろうか
それとも宇宙ステーションから
異星へ旅立つのだろうか
ネクラの人類でなくても
赤道直下 南海の人類にも微生物のように
さみしさは住み着いているのだ
さみしさは人類の母
人類のふるさとなのだ
誰もが母を持つように誰にもこころの
さみしさは信号機をももっている
そうしていつしか変わるのだ
赤 青 黄色に 人類のさみしさは
遺伝子がコピーした400万年前からの
情報なのだ いまもさみしい人は
1000万人はいるだろう
さみしさなんてへいちゃらさ そうだろう
2004・11・24