館山記
……とある蛙

港から程遠くない高台
急な坂をゆっくり登ると
桜の枝の間に覗く再建された天守閣
ゆったりと 
本丸天守閣から海の風景が広がる。

遠く相模湾が霞み、その右手に浦賀水道
三方を山で囲まれたこの地は
阿波徳島の氏族の末裔が 拓いた海の要衝
物なりに恵まれ
上州の代官が現れるまで
豪族割拠の豊饒地だった

 城山を鳶二羽が舞う
 獲物を狙い旋回しながら下降する
っと 一度上昇し空中で制止する。

鳶の眼下には城山の緑と犬を連れた人間
いずれも獲物では無く
女郎蜘蛛と鳶だけが獲物を分け合う
犬の伝説が後付けの温暖な地は
古くから豪族が割拠する豊饒地だった
鎌倉がすぐ隣接する土豪武士の土地だった。

しかし、出迎えるのは
何故に鴉のブロンズか


自由詩 館山記 Copyright ……とある蛙 2011-11-21 14:31:23
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