十一月尽
伊月りさ
燃える
椛
(
もみじ
)
を煽るように
わたしが吹きつける
燃える山
きみを理解したいので燃やした
わたし
を 理解しようと
祈りが増え
祈るための言葉が増え
言葉を行き交わせる道具が増え
科学が増え
わたしを理解しようとする人間が増え
きみは
山から下りられなくなった
ことを 哀れまれ
ああ
椛
(
もみじ
)
が燃えるように
きみを理解したい
わたしがつめたく吹きつける
わたしの溜息が、
ああ、
その鮮やかな山々を炎上させ
頬、ひるがえり
爪、薫り立ち
青空を食い散らす様が
ここからしっかりと
見える
もっと遠くまで走ろうか、
もっと遠くまで
きみが見えることを証明したい
降灰の季節
ふたたび わたしは
きみを失うのか
という自然の
下
(
もと
)
にあって
失いたくない
という自然の
下
(
もと
)
に
言葉を重ねていく
ことを 哀れまれ
暖をとるため 今日も
燃える
わたしは吹きつける
自由詩
十一月尽
Copyright
伊月りさ
2011-11-19 20:30:04
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