言葉の粒
そよ風

風が冷たくなってきた。
クリスマスも近いな。
電飾された家々の
そのむき出しのコードが日本らしくて好きだ。
足早に駅にむかう道、コートの襟を立てる。

何処からきたのか
スーッと北風が吹いた時
私の中にある言葉の粒が弾けた。

プチッ。

その言葉の粒は、熱をもち私の体を刺激する。

まるで、耳もとで囁くように。

その湿度が、圧倒的な力で時間や空間を歪ませる。

あまいあまい
言葉の粒。
誰かが忘れて行った。
言葉の粒。

スーッと吹いた北風で
私はバラバラ死体のように、散らばって、
あまい言葉の粒だけを、ひたすら舐め回す。

スーッと北風が吹いた時
ふと、空しくなり
散らばった体を拾い集める。

「今日は寒いな。」

また、襟を立てて駅にむかう。



自由詩 言葉の粒 Copyright そよ風 2011-11-18 12:06:19
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