バースデイ・イヴ
シリ・カゲル

自分が自分に戻るために
自分が作った王国を出て行く
そこには真夜中でも
一緒に起きていてくれる駱駝がいて
醜い蛙との生活のことは忘れられる

闊達な老人が
優先席の前で苦虫を潰している
そろそろ気づけばいいんだ
彼らが席を譲らないのは
世代間格差に対する
ささやかな抵抗であることに

電車が時間調整のため
当駅で1分ほど停車しますとき
寝相の悪い友の横で毛布に包まれ
駱駝が「メェ」と寝言を言う

誰の上にも
等しく同じ数だけ流れよ
今夜解禁の獅子座流星群


自由詩 バースデイ・イヴ Copyright シリ・カゲル 2011-11-17 22:29:13
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