青い鳥
るるりら

【青い鳥】

涙はない 思えば おもうほど 青い空しか
浮かばない
人は かならずしも 真正面から むきあうことで
力を その胸に宿すのではなく 
同じ方向に そっと居る
それが力になることが あるもの

空に青い鳥が飛んでゆく
メーテルリンクではない
仏法僧という鳥の飛来
その翼は 光をうけて
黒や青や緑に輝く
あれは 青い鳥だ
青い鳥は
捉えてはいけない
あれは
飛びぱなしでないと

巣づくりにきた鳥は
飛びたつことを
わすれはしない

わたしが 昔、飼っていた十姉妹が
籠の中で 自分の産んだ卵を
食べながら 死んだ
オスが けたたましく ないた
あれは 小学校の入学した日
祝いの赤い リボンを ちいさな母に ささげた

そして わたしも いづれ親になった
籠の中で子育てをしているようだった
わたしも 姉妹のこどもを 抱いた
言葉が削れて 獣になった
新鮮な命は爆発だった
磨耗と焦燥 欠落と
母って なにさ
十姉妹の母が子を食べた
そんな気持ちすら解る自分を憎んだ

そこに
叔父さんが 子供の髪の毛で筆を作りたいと
言ってくれた
わたしは ひとりじゃないんだなと 
やっと わたしは人の心を
つないだ


その叔父さんは逝った
夏に 退院して 自宅にすこしの間 帰っておられたけれど
それは 青い鳥の 巣づくりのようだった
隣の幼い子に習って風船蔓の種のハートの形に
笑っていた あの叔父さんが

青い鳥が
空に
帰ってゆく
青い鳥は
捉えてはいけない
あれは
飛びぱなしでないと



自由詩 青い鳥 Copyright るるりら 2011-11-17 21:55:44
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