寡黙な月と饒舌な孤独
梅昆布茶

下弦の月が押し殺した笑い声で見降ろしている夜は

やり場の無い紅い狂気がぼくを支配する


沈潜する魂は追いつかない時を追いかけて

それでもワインの薫りがなつかしいのだが


12ヶ月のうちの12ヶ月を無駄に費やしているのに

痛みを感じなくなったこの頃は別れた妻にも送金が遅れているし


マザーテレサあなたは何処に隠れているのでしょう

すべての善良な少年は恩恵を受けなければならないのでしょうね


詩は手ごたえの無いものに重みを与えてくれるのでしょうか

約束の履行に疲れた心にひびくのでしょうか

現象と妄想の不毛に終止符を打てるのでしょうか


いまだかつて無い飢饉が蔓延しています

癒される事の無い地球の悲しみなのかもしれません


たぶん僕はシェルターに隠れません

せめて彼女と一緒に心を病みながら次の星に行きたいのです


原子炉には原子炉の哀しみが

チョロQにもせつないかわいい哀しみがあるのですね


事大主義は嫌いですしでも悲観もしませんし

ただ地球が廻っていればよいのです


ほかになにがいりますか

あなたの言葉はだれに響きますか





自由詩 寡黙な月と饒舌な孤独 Copyright 梅昆布茶 2011-11-14 06:20:36
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