丘を下る夕べには
梅昆布茶
なだらかなおかがつづいているこの辺りは
雲雀のさえずりが静かに雲にとどいている
きのう釣ったさかなをみずに帰してやるといっしゅんキラリとひかりを含んで消えた
春になるとれんげの花さく牧草地帯には
つねに変化する小さな生命と柔らかな大地のうたがいきづいている
この世に祈りがあるとすればぼくの懺悔は
この風景にとけて流れてかぜになってゆくのだろう
夢幻のような地球の音楽がこころに祝祭をつげる
ぼくはいつのまにか雲のかげとひかりのうつろいのなかで
ぼんやりとシロツメクサのように生えていたいのだ
なだらかな傾斜をゆっくりくだってゆく
もう日はとっぷり暮れていた
町のあかりが見えてきて僕はふとふりかえる
そこにあった祈りが消えないように
もう輪郭の定かでないたましいの痛みを
かかえながら
酒場へ帰るのかもしれない