えにし
nonya


呼吸のように
代謝のように
君と僕を
当り前につなぐもの

歯磨きのように
晩御飯のように
君と僕を
さりげなくつなぐもの

無理矢理つなごうとしても
呆気なく解けてしまうものなのに
君と僕は
最初からつながっていた

たとえ
言の葉を刃にしてしまっても
たとえ
踵を返して遠ざかろうとしても
もう
切れやしない

人混みのど真ん中で
張り詰めたりしながら
独りの夜の端で
こんがらがったりしながら
僕達は互いの体温を
うっすら予感していたのだろうか

運命なんて信じない
必然なんてありえない

でも
えにしという
やるせない不思議は
僕のあてどない暮らしを
有無も言わせず
つなぎ止めてくれている

それは
ありきたりの中に埋もれた奇跡
それは
日常茶飯の底に沈んだ宝石

なんて
照れ臭くて
とても言えやしないけれど




自由詩 えにし Copyright nonya 2011-11-11 21:17:35
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