ABCマートからの帰り道
番田 


特にもう、何もしたくはなかった。景色だけが、私の味方なのかもしれないと思った。日が暮れていく。休みの日に満足できることは、ものを買うことだけ。無印良品やIKEAだとかを回りながら、色々なものを見て、結局家のネットで購入したりして、気づけば日が暮れていた。何をしたのだろうと思う。人ができることなど限られているのかもしれない。だけど、そんなことはどうだってかまわなかった。どうだってかまわないと、私はまた、口にした。

時は何もヒントを与えてはくれないだろう。経済に関する本を読んだ。はっきりとした解答を、本は何も与えてはくれない。雑誌の方が如実なリアリティに溢れていたりする。街は、それ以上に混沌としていた。同じ系列のコンビニがあると思えば、違うコンビニが突然角から現れたりもする。どちらにしても三井住友のATMが入っているコンビニなどに用はなかった。東京は、色々な街が存在するが、どこも煮え切ってなどいない。犯罪の多いエリアなどといわれていても、マンハッタンのハーレムのような雰囲気などどこにもなかった。若者も、アメリカ人のような格好をしていたり、ラッパーを意識した格好をしていたりする。しかし、彼らのなかにどれだけのスピリットと呼べるものがあるのかはわからなかった。どうせ、愛国心についてたずねてみても、曖昧な返事しか帰ってこないのだから。

それは、しょうがないことだ。それについて考えてみたところで明確な回答など得られはしない。インターネットは経済の流れを変えていく。街から、人も物も姿を消していくことだろう。ネットの中だけが整然とした賑わいを見せている。



散文(批評随筆小説等) ABCマートからの帰り道 Copyright 番田  2011-11-11 01:40:14
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