午後の光が池の面に煌めいている
前の組が進み後ろのひとが打つまで
俺はその煌めきを見つめていた
待っているあいだに力んでしまわないように
意識を煌めきに移していた
パーボギーパーパーと続いて
知らず知らずのうちに
体幹に渇いたしこりのようなものが付着し始めていた
これが力みなのだ
前の組が進みキャディーから声がかかった
まず後ろのひとが打った
次は俺の番
池の面の煌めきを思い浮かべながら
素振りなしで打つことにした
ボールはグリーン横のバンカー方向に向かって高く上がった
6番アイアンがラフに食われて少し開いてしまったのだ
足もとに置いたクラブを拾い上げて歩きだしたとき
池の煌めきが彼女の友人の言葉となって哀しく広がった
○○ちゃんは弱いところがあるから、男なしじゃ生きてはゆけないのよ、
友人の言葉が煌めき俺の胸を焦がした
でもね、○○さんといるとき、○○ちゃん、今まででいちばん安らいで見える、
友人は俺の一瞬の落胆を見てそう言った
あのラフからアイアンで、あんだけ飛ばすなんて、ナイスショットですよ、
そう声をかけてきた男も俺の落胆を見抜いたのだろう
ありがとう、あの時も俺は彼女の友人にそう返した