暮れゆく部屋
菜穂
時が落ちる空と
暗闇に染まりゆく部屋
淋しげに伸びる影を見つめながら
いつか見た同じ陰りを思い出す
人生とは何たるものか
生きるとはなんだろうか
若き日の迷いそのままに
移りゆく部屋見つめ
思ったものだ
今は生活に追われ
現実に追われ
心止める瞬間を忘れてしまった
音の止まった闇への入り口は
そんな記憶を呼び覚ます
そこにあるのは、昔と同じ思い
何度朝を迎えても
何度人と混じり合っても
虚しさ残る今日だった
何も見えなくなるまで
こうして暮れゆく部屋を眺めよう
月明かりさえも自由にならない世の中で
何かを感じるだろうか
何かが見えるだろうか
明日もまた、途方に暮れる夜なのだろうか