暮れゆく部屋
菜穂

時が落ちる空と
暗闇に染まりゆく部屋
淋しげに伸びる影を見つめながら
いつか見た同じ陰りを思い出す

人生とは何たるものか
生きるとはなんだろうか
若き日の迷いそのままに
移りゆく部屋見つめ
思ったものだ

今は生活に追われ
現実に追われ
心止める瞬間を忘れてしまった

音の止まった闇への入り口は
そんな記憶を呼び覚ます
そこにあるのは、昔と同じ思い
何度朝を迎えても
何度人と混じり合っても
虚しさ残る今日だった


何も見えなくなるまで
こうして暮れゆく部屋を眺めよう
月明かりさえも自由にならない世の中で
何かを感じるだろうか
何かが見えるだろうか
明日もまた、途方に暮れる夜なのだろうか


自由詩 暮れゆく部屋 Copyright 菜穂 2011-11-10 14:51:45
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