invisible,
豆椿


映った陰を追いかけたら、
陰は走って逃げ出して

止まった陰に近付いたら、
陰はそのまま動けなくなった




僕は日差しがまばらにさす階段の下にいて、

金色がかった眩しい日差しを、影の下で座ってみていた



走り出した陰に、実態はなかった

人の形をしたそれは、大人でも子供でもない身長位で、

遅くも早くもない速さで、さっさとその日差しから行ってしまった




透明人間じゃないでしょう
足音も何も聞こえなかったから


透明人間はいないでしょう
だってそんなの見たことないから





空でカタリと音がした

見上げたら空では小さな扉が開いていて、





階段から続く細い道の上で、
キィキィと音をたてていつまでも閉まらずに揺れていた





自由詩 invisible, Copyright 豆椿 2011-11-07 16:46:42
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