バイエル
たもつ

 
 
犬小屋を作る
犬がいないので
代わりに自分が中に入る
隣の家から拙いピアノが聞こえる
丸くなりうずくまっていると
昔からずっとこうしていた気がしてくる
前を通る人が
中を覗き込んで口から何か音を出す
あれが言葉というものなのだろう
ピアノはさっき間違えたところを
滑らかに弾いて先に進む
自分の体温で
自分の内側が少しずつ温かくなる
一番近くに自分がいる
そのことに安心して
眠くなってくる
 
 


自由詩 バイエル Copyright たもつ 2011-11-06 19:53:21縦
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