冬が近づいている
ピッピ

外気4℃、窓は全開
要するに火照った身体を冷ますためなのだけれど
それはどちらかというと恋人がやってほしい
暖房も灯けていないのに、温度上昇
する、この部屋は、きっと恋人もいる

窓の近くで、息が白くなる
現象の名前を、確か誰かに訊いた筈だった
が、それも何処かへ置き去りに
知っても知らなくてもいい、名前なんてなくたっていい
詩になんてならなくてもいい、誰かが分かってくれれば、冬、
もう少しで冬になる、残酷だ
僕も一つ歳をとる、みんな平等に一つ歳をとる

正気があればいい、熱湯で淹れた紅茶が美味しい
と感じることのできる、
このケーブルの向こうではどんな血が流れているかも、知らず
美味しいと言えば、

知っている、この世界の何処かで
世界中の倖せの平均値を求めていることを、ばれている
美味しいと言えば、それを少しだけ上げることができる、
かもしれない、

外気4℃、窓は全開
伝えるためでなく、しかし繋がったままのそれ
を閉じようともせず、世界は存続する
呼吸の一つ一つ、分かっているだろうか


自由詩 冬が近づいている Copyright ピッピ 2004-11-23 18:55:25
notebook Home 戻る  過去 未来