秋景
花キリン

夕日が
熟した柿の実の中へと
沈んでいく
静寂が生まれる瞬間だ
紅葉は色を落として
深い眠りについた
幾つかの音を拾って
風が遠くからやってきた
心音に重なる
騒がしさが消えて
耳の奥深くへと
虫の音が帰り始めた
柿の実のように
丸くなった背中が
年越しの準備を急いでいる
コホンと咳がして
ぽとりと
柿の実がまた一つ落ちた


自由詩 秋景 Copyright 花キリン 2011-11-05 08:31:02
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