そのままの君でいて
水花


詩を書いていた、なんて、たいそうなことではない。
詩とも散文ともつかないような、落書きだった。

砂木さんは私を挫折した人だと書いて、確かに私もそういう気持ちだった。
しかし今思えば、挫折、なんて、それもまた、そんなたいそうなものではなかったと思う。

自分自身、いったい何をどうして挫折と思ったのか
ただまわりはキラキラと輝き、そのキラキラの粉が私を憂鬱にさせていた
そんな時期だったのだと、そんな年齢だったのだと、今ならわかる。

否が応でも私は大人になり、言葉は消えていった。
ついでに、私にはキラキラの粉が見えなくなっていた。

それはあの日、確実に来ると信じて疑わなかった未来に
今、私が立っているからなのだと思う。

そして、その未来とは全然キラキラなどしておらず
相も変わらず、憂鬱なのだ。



あの頃の私と違うのは
ただ私は言葉が好き、だと気づいたこと。
膨大な数の言葉が私を傷つけ、同じくらい確実に救った。
ただそれだけの事実が、私を言葉に向かわせる。


私の発した言葉で、誰かが何かを感じてくれればいいなと思う。
たいそうなことじゃない。
ただ、人の心のどこかに触れることができる人でありたいと思う。
私を傷つけ救った言葉と同じくらい、誰かの心に届く言葉を書きたいと思う。

少しの期待と、大きな傲慢を自覚しつつ。




さて、これは散文なのでしょうか?

使い方すらわからない私に、誰か救いの手を。


散文(批評随筆小説等) そのままの君でいて Copyright 水花 2011-11-05 02:04:10
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