幽閉 序章、 物自体の仮定、
狩心

パーティーへ乱入して、
新郎新婦の間に分け入って、
わたしがあなたたちの子供だったの!と奇声上げる

過去に生まれた愛さえも、
新しき想像妊娠の前では無力だった、
沈黙の客席、その大広間に
「時限爆弾が設置されているわっ!」 その怒号、
みんな一斉に閉鎖されている部屋の壁という壁すべてに
ドアというドアを作り始めて脱出しようとするが・・・

爆弾は容赦なく期限を迎え、
新しきその 何もない部屋には
否むしろ部屋とはもう呼べない そのものには
わたしがあなたたちの子供だったの!
という言葉だけが残った

荒れ狂う竜巻の砂漠に
たった一時の平安を求めて
建造物がまた立ち始める度に
新郎新婦は選ばれて、口付けをする前に邪魔されて、
何度も殺される
少女の
純粋さの
未経験の永久の美しさの中で

少女と双子の少年は パーティーが大気の中に溶け込んだ
瓦礫の降る水面上を右往左往し、 心底に沈んでいる、
人の顔をした岩を 無数の岩の中から探そうと必死で、
岩と岩に挟まれては死に 岩と岩に挟まれては死に
磨り潰されて
液体になっていく

一体誰が人で、
一体誰が地球と一体だったのか、
生まれてくる子供達には過去に生まれいずる愛達を
知る由もない、

知る由もないので、
婚約指輪は荒れ狂う、
吹雪の灼熱の硬さに 興奮し、 事実ではなく、
与えられた仮想を 食すしかなかった

真実を司るのは
何も知らない未経験の少女と
双子の少年の磨り潰される音と
液体は一体誰のものだったのかという
残された言葉の持ち主
つまり
挟まれる度に設置されているという
過去から生まれいずる時限爆弾の設置者
パーティーに参加しなかった
恵みに
選ばれなかった 地球外の
人間になれなかった人間のみ

その人間が手にした真実が
また愛という不幸を産み出す
愛が在ったという愛を
消すことができなくて
自分を消すに至るのだ・・・

心底で、
澄み切った水をさらにろ過し、飲んでいる奴ら、
勘違いするな
お前たちの計算式は既にドアのない部屋を構築している、
時限爆弾は今そこにないが、
その部屋の過去と未来に必ず生まれいずる。

序、
お前たちはお前たち自身を捨て去らなければならない
そしてお前たちの子供達の希望をすべて消し去らなければならない
部屋を作ってはならない パーティーを開催してはならない
無数のドアだけが宙に浮かぶ 仮定された地球の大気の中を
静かに横たわったまま浮遊し 腐乱し 溶け消えながら耳を澄ますのだ
音が聴こえてくる前に何度も何度も消滅してしまうだろう
しかしその間もお前たちはこの仮定された地球にばら撒かれている
それを繰り返しているうちに 消滅するよりも先に音が聴こえてくる
お前は目覚める
お前たちから離れて お前の外の 仮定された地球から
淀んだお前が呼応してくる、 ゆっくりと 恐怖を携えて、 荘厳に

重なる音が重低音を作り出す
お前の身体は落とされる 立体の平面座標に
呪われた永獄の精神から解放されて

おまえは

物自体になる

宇宙はそれを阻止できない


自由詩 幽閉 序章、 物自体の仮定、 Copyright 狩心 2011-11-04 12:45:30
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