縄文土器
草野春心



  縄文土器を
  保健室に忘れてしまい
  取りに戻った
  夏の日



  熱く
  熱く光は燃え
  廊下を歩く人たちも
  ブラスバンドの行進曲も
  そう仕向けられているようで



  保健室には
  人影なく
  スチールの机の上に
  土器だけが残されていた
  消毒液の匂いはなぜか
  殺人現場を思わせた
  窓がすこし開いていて
  カーテンがはためいていた



  ぼくはきみを抱きしめたかった
  何度も
  何度も
  何度も





自由詩 縄文土器 Copyright 草野春心 2011-10-31 19:13:18
notebook Home 戻る  過去 未来