笑ってよ baby
はだいろ

もし、ぼくが、
もっとふつうに働いて、
浪費家じゃなかったら、
きっと、二千万円は貯まっていたよ、
と、ぼくのほんとうの浪費癖も知らないで、
彼女は言うのだ。

二千万円あれば、
結婚式もできたし、
引っ越しもできたし、
大きい冷蔵庫も買えるし、
マンションの頭金にもなる。
入院費の心配もいらない・・・

でも、
二千万円持っている他のだれかより、
二千万円持っていないぼくのほうが、
きみはいいんでしょう。


寒くなったから、
生姜の春雨スープを食べさせたら、
やっぱりきもちがわるくなって食べられず、
とちゅうで泣き出してしまった。
よしよしと、
背中をさすってあげる。
向こうの病棟から、こっちの病棟を見れば、
ラブシーンのように映るだろう。

ぼくは、入学式とか、
卒業式とか、
朝礼だとか、
整列だとか、
お葬式だとか、
結婚式だとか、
そうゆうものが、心の底から嫌いなのだと、言ったから、
泣きたくなったのかもしれない。


お誕生日に買ってあげた、
二千円のお花もとうとう枯れてしまった。
でもよく頑張ったね。
頭をなでて、
ぼくのお腹がキュルルと鳴ったので、
もう帰って、
と彼女はもう笑った。








自由詩 笑ってよ baby Copyright はだいろ 2011-10-30 22:11:20
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