嵐が丘のバラード
ballad

影の中の優しい私の中に住む野に咲く花の香りをかぐために一匹のハチドリがその体を停止させて私はそれを見るために何度も私の中に潜り込まないといけない。ここは、私の庭園。正午には陽が指し、夜には月が輝く温室。私の育てた植物達の寝息が私の耳をそっと包む。私はこの温室、庭園の中心で、嵐になるために荒れ狂う。ここは、優しい嵐が丘じゃないのよ。ここは、本当に優しいものに囲まれて吹き荒れるための嵐が丘。
 椅子は並べられた。テーブルも並べられた。私のための道も出来た。私のための矮小で小さな世界の中で、私が日没の様に落ちて、夜明けの様に上がる時、いつも吹き荒れる嵐から身を守るために、植物達は温室と庭園を造った。これは私のためじゃなく、私のためでも歩けど、やっぱり私のものじゃない。
 植物達が眠りから目を覚ます前に、私はこの庭園、温室から去ろうと思う。その時に優しいかぜが私をさらっていってくれる。
 


自由詩 嵐が丘のバラード Copyright ballad 2011-10-28 11:16:00
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