ゼロ G
唐草フウ

二人の”おば”は
しらない行き先のしっているバスに乗り
どこかへ連れられて行ってしまった

けいたいでんわの
ぼたんが押すたびにこぼれて
ただの二つ折られになった

心配されても
わたしはどこにも行くあてがない
心配しないで
むかしのようにはだしで車道を歩いてた
なんてことはしない


感覚が一つずつ抜けてゆく
ほどけるわけじゃなく 抜けるのだ
髪も抜けて ひろい 抜ける
早く寝なさいと言われても
わたしが見ているので安心してるんでしょう
深くおやすみ


去年の今ごろ
こころは裁判所だらけで
虚ろな風ばかり吹いて
状況はぜんぶ変わったのに
冷たさはそんなに変わらなかった
下半身を引き摺る思いも


そのうちね
パソコンのキーも
ぼろぼろ抜け落ちそうだ
代償なんてもう考えたくないんだ









自由詩 ゼロ G Copyright 唐草フウ 2011-10-26 05:26:24
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