困っても遅いのだが
木原東子
古里の十年は
丸い石ころみたいに
旅にいざなわれた
山陰に五年もいたら
霧の病に取り付かれ
九州にもどったら
嘘のようにピンクの肌
ロマンスの七年を置き去りに
意気揚々と広島へ
冒険三年また逃げて
神戸でじたばた五年
それを諦め九州へ
そこでの四年を棒に振り
異国で過ごした衝撃の
七年間の原稿は
また海の藻くず
大阪へ
大阪は長い
黴のような二十三年
そんなもの要らぬわ
すっぱり決めて
房総半島に移りゃ
あとは地球を去るまでの日々
自由詩
困っても遅いのだが
Copyright
木原東子
2011-10-24 22:25:17