夜を歩く
灰泥軽茶

終電車は目的地まで届かず
私の気分はバンジージャンプあとの伸び縮みするゴム
はてどうしようか、
タクシーに乗ろうか乗るまいか
歩いて帰ろうか

夜の気分はおいでよと誘う

自動販売機はなにやらひそひそ噂話
かしこまった信号機はちかちか忙し忙し
歩けば歩くほど時間は粘土をこねるように自在に形を変え
影帽子たちはクジャクが羽を広げるように分身し

カリプソ気分でナチュラルハイ
あぁゴーギャン的淑女たちが手招きしてくると思いきや

雨が急にざんざ降り
高架下で夜の光に照らされた雨を眺めながら一献呆ける
さめざめ雨でようやく全身駆動
機械化した一定のリズムで夜道をキョウホロホー

いつのまにか家のドアを開け風呂にざぶんと入れば
私はふえるワカメとなり心地良さに浸る





自由詩 夜を歩く Copyright 灰泥軽茶 2011-10-22 03:29:56
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