salco

雨が降ると私は
主を失くした犬のように大人しい
夫を亡くした妻のように淋しい
世界は私と一体何の関連性があるのか
此処に生きている意味などあるのか
いや、予めの墓標に過ぎないのだと
そんな思いがして来る
抗えぬ自分になる

雨の浸透作用は孤と閉塞の自覚を促す
何故なら、子宮から出された仔は
もう保護されない
だから薄い天井に電燈を点け
過去から切り離された一点で雨音を聞いている
私という無一物
言語は無効だ
予め無効だ
私は誰だ?

眠るあなたという裸体
眠る裸体というあなた
あなたという裸体の眠り
それも儚く、幻影に等しい
私たちの邂逅は存在さえしない
何故なら、雨は降るから

過去は何処だ? 過ぎた時間は
生は記憶の砂山に過ぎない
記憶は既に幻視の断片でしかない
だから死んでいるのではないか私は
呼吸する亡者、声を出す死霊

実存は雨だけ
自己認識に浸透し人を溶かす
現在を包括するのは雨だけ
空から水が降る





Raining

Who cares?
When you are a kitten
Dumped in the box
Soaking wet, shivering
Starved and weaken
Who cares?
Under umbrellas they are 
Just on their way home
Who cares?
It’s raining today




自由詩Copyright salco 2011-10-21 23:17:14
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