秋雨
アヤメ
巷の秋に目を見開いた空は
もうさよならする太陽が帰って行くことも知らず
振り返った瞬間 涙をこぼす
秋雨よ
わたしを揺らしていて
秋雨よ
倒れ伏すわたしを打ちつけていて
伸びきったタンポポと 紅に染まった指先
すべてもうとどまることはないと
常ならない冬の訪れを知る
秋雨よ
わたしを涙で包んで
秋雨よ
倒れ伏す私を打ちつけていて
誰より遅くていいのです
でも誰より あなたの去って行く日を知らなかった
わたしを悲しみで包むことはしないでください
また会えるから、と放たれた言葉の先に
どうしようもない別れを感じては
それが怖くて言葉にすらできないのです
海と空の間にある水平線の
分かち合えない苦しみをもってしても
わたしの別れへの恐れは消えることはなく
風に舞う
秋雨よ
私を揺らしていて
倒れ伏す私を打ちつけていて