まちがいだらけだ
木原東子

赤い朝顔の種をまいた
心からその色に憧れて
でもそれは涙ぐんだ白い朝の顔

からたちの木をみつけて
白秋とともに歌った
芋虫とも戦った
でもそれは金柑の樹

根っこから変な葉っぱが
これは臭い虫が付く
枝を苛めて育たさなかった
でもそれは金木犀だった

右隣りはほとんど浮浪者
左隣りは余りに無口
後ろの奥さんじろと見る
通行人はじろと見る
でもみんなよく挨拶してくれる

もう大丈夫と言う仕事だった
上司にセクハラうけ
仕事に自信を失い
妊娠して辞めた
一行ごとにまちがいだった

庭に松葉牡丹をみつけた
たいせつに世話をした
牡丹色に咲いた
でもそれはどう見ても雑草だった

脳から出て来て
綴る文章
ひとつひとつが
まちがいだと次第にわかる


自由詩 まちがいだらけだ Copyright 木原東子 2011-10-20 18:15:06
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