パラシュート
さすらいのまーつん

 疲れた心がパラシュートを広げて
 真夜中のコーヒーに着水した

 生クリームの小島に横たわる天使が
 ハスキーな声で 慰めの歌をささやいている
 その羽を ゆっくりと打ち振りながら

 ベイビー 俺は眠りたい
 なのにこうして暗い窓を眺めている
 胸の痛みが消えないから
 コーヒーの湯気は 夜行船の霧笛
 俺は椅子に腰掛けて 記憶の海に船出する 

 今日風に背中を押されながら 用水路のさざ波と走った
 通りすがりの女が ちらりと投げた視線
 冬の闇が迫ってきて 人々を家路へと追い立てる
 その空はあくまで透き通っていて
 星明かりの冷たさを 俺の目に押し付ける


自由詩 パラシュート Copyright さすらいのまーつん 2011-10-19 22:15:57
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