偽物
森未

「ほしかったのは そんなのじゃなかった」

生暖かい愛情が首筋に残って
むなしい時間が過ぎるだけ
洗っても消えない染みをつけて
泣いたって意味ないの

求めたわたしに釘刺して
傷つくのもわたしひとり

偽物の愛つかんでも
幸福な傷を深く残して
誰も救ってはくれないの

何にも知らないあなただけを
ずうっとだまして愛していく
消えない罪を抱きしめたまま
あなたに向ける笑顔の分だけ
毎日傷つく、そうして救われる



自由詩 偽物 Copyright 森未 2011-10-19 21:04:48
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