本箱
まんぼう2

目の奥がずんずんして
とても眠かったが
夕方の電車に乗って
町に向かった

子供の頃
縁側に
本箱が置いてあった

陽がたっぷり差し込み
田んぼや
小川や
遠くには山も見えた
本の背表紙が
世界の入り口のように並んでいた

「シートン動物記」
「怪盗ルパン」
「火星のプリンセス」
「金沢」
「ダンス・ダンス・ダンス(下)」
「葉書でドナルド・エヴァンズに」
「森銑三全集」
「内田百?全集」
小さい本箱には
数千冊の本が並び
廊下は無限に伸び
陽が差し込み
遠くに山が見え

小さい電車はゴトゴト走り
古い本の背表紙が
固いシートに並んで
座っている


自由詩 本箱 Copyright まんぼう2 2011-10-19 14:15:51
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