寝顔
草野春心



  ぽっかりと口をあけて
  君はねむっている
  愛さずにいられない
  その唇が
  ときに嘲ることもあるというのに



  睫毛をしんとさせて
  ねむっている
  どうしてそこまで
  無用心でいられるのだ
  その眼は夢よりもむしろ
  失望をこそ多く目にしてきたはずだ



  今夜、
  月の光は
  無のように白く
  君を食む
  僕は、
  畏れずにいられない



  それでも君はねむりつづける
  ベッドのうえで
  屈託なく
  世界から
  遠く





自由詩 寝顔 Copyright 草野春心 2011-10-18 18:47:35
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