陽だまり 2011
たま

ゆうちゃんは無口な転校生だった

四年生の春に
ぼくのクラスにやってきた
ゆうちゃんと、ぼくは
なぜか気があって放課後はいつも一緒にあそんだ

がっこうは友だちできへんからきらいや。

そういってときどき、学校にこなかったけれど
ゆうちゃんがやすんだ日も
ゆうちゃんの給食はあった

わたしてあげてね。

サトウ先生はいつもないしょで
給食のコッペパンと、マーガリンをくれた

ゆうちゃんはいつもひとりで家にいた

ぼく、いらんのにぃ。

はずかしそうにコッペパンをうけとると
半分にちぎってぼくにくれた
そうして
陽だまりみたいなゆうちゃんの家で
まんがを読むのが好きだった

夏休みがおわって、もうすぐ運動会だった
ゆうちゃんは今日も学校にこなかった

給食のコッペパンをランドセルに入れて
ゆうちゃんの家まで走っていった
ドアには鍵がかかっていてだれもいないみたいだった

ランドセルのなかには
もう、みっつも
コッペパンがたまっている

ちゃんとごはん食べてるのかなぁ。

つぎの日から
ゆうちゃんの給食がなくなった

ゆうちゃんのいない家のまえを走って帰った

ランドセルのなかのコッペパン
走るとカタン、カタン、って泣いたけど


だれにもいえなかった









自由詩 陽だまり 2011 Copyright たま 2011-10-18 11:45:37
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