魂の行方
菜穂
当たり前に動く この体も
ずいぶん使い果たしたものだ
これは借り物の器
自分の物であるのは魂だけ
それすら神に与えられた奇跡なら
空気に漂う気配だけが
己自身なのかもしれない
人の心に残る残像だけが
生きた証
器がなくなった魂は
いったいどこへ行くというのだろう
自分である事も忘れ
風となれ
すべてを捨てて
一粒の命と化して
自由詩
魂の行方
Copyright
菜穂
2011-10-17 23:56:45