機上の人
シリ・カゲル

膣のないパン屋と
バグだらけの牛乳屋を
定期券片手に往復するだけの日々。

こういう月の見えない夜には
機上の人になりたい。
福引き末等の赤い赤玉を
小枝と一緒に運ぶ小鳥の
白い機上の人に。

逆説的ではあるが、
私が恋愛できない理由は
きっと恋愛しかしていないから。
Aという稟議書に判子をついて待ってても
丙という流行は生まれないように。

ここ数日、
視覚からのインプットばかり。
サファリパークの猛獣諸君
あえて音楽を聴く祝日を作ろう。

そんなわけで
こういう月の見えない夜には
機上の人になって、
フィッシュ・オア・チキンだけで悩みたい。


自由詩 機上の人 Copyright シリ・カゲル 2011-10-17 22:36:48
notebook Home 戻る