育てるひと
恋月 ぴの
育てる
花を育てる
愛しい我が子を抱くように
育てる
花を育てる
我が子の明日を夢見るように
※
よく見かけるひと
花電車の通う線路脇で季節の花を育てるひとの姿
せっせと雑草を刈ったりして
自分の庭でもないのに余計なことをしてるようで
なんだかなぁと思ってみたりもしたけど
今の季節、可憐な秋の花々は冷たさ緩んだひとときの風に揺れ
何を思ったのか季節外れの蝶も舞う
車窓からはどんな感じに映っているのかな
クルマの渡るには手狭な踏切を
ベビーカーを押すお母さんが急ぎ足で渡り
鳴り響く警笛の向こうから
昼間下がりにしては混雑している都電が通る
※
育てる
何かを育てる
人の生き方で原因と結果は別物だけど
育てることから何かがはじまる
そう思わないとやってられないよな
こころの奥で誰かがちゃちゃ入れたりするけど
育てる
そこからすべてははじまって
明日になれば、きっと花開いてくれる
わたしの育てたもの
わたしが育てようとしたもの