全ての面を揃えよ
オノ

ある田舎町の町おこしとかで、1000ドルの賞金の懸かった
ルービック・キューブの大会が開かれた。
賞金が懸かっているとはいえ、ルービック・キューブの
存在すら怪しい田舎町でろくに色を揃えられる者もなく、
大半が記念半分に参加して制限時間いっぱいの三分まで
衆目の元に冷や汗を垂らしては客席に帰っていくだけだった。
ところが閉会間際、なんの気まぐれか世界チャンピオンが
やってきて、ものの10秒で6面の色を揃えてしまった。
誰もが、賞金は彼の物だろうと確信したが、続いて修理屋の
ニックが自信満々に現れて、開始早々キューブをペンキの缶に
沈めてしまった。
ニックはルービック・キューブ代10ドルを請求された。


自由詩 全ての面を揃えよ Copyright オノ 2011-10-17 08:41:22
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