不時着
たもつ

 
 
紙を飛行機にして
窓から飛ばす
しばらくして
砂漠に不時着する
近くでは
砂場と間違えて迷い込んだ男の子が
砂遊びをしている
こんなに集めたよ
振り返って
砂でいっぱいになった
プラスチックのバケツを掲げる
その姿を見て
居間でアイロンをかけながら
母親が微笑んでいる
飛行機は元の一枚の紙に戻り
紙として再び
何処かに飛んでいく
窓を閉めて
室内を眺める
幸せとか不幸せとか関係なく
自分にとっては
あれが最後の一枚だった
 
 


自由詩 不時着 Copyright たもつ 2011-10-16 19:15:43
notebook Home 戻る  過去 未来