探索
葉leaf



君の眼の内容に鉱脈が続く。僕は君の眼の地軸が太いことを君に隠してきた。君には幻覚を売る権利がある。そして眼の先端を選ぶ権利も。僕には君の血の流れる音がまぶしすぎて、脂肪の宛先を忘れてしまう。君の血はいつか光ファイバーを通ってディスプレイに固着するだろう。僕は君の血を弾き散らして一冊の辞書を書く。血は情報だ。君の唇を消火すると、僕の靴から都会は広がっていく。窓ガラスには風紋が刻まれ、鍵穴は壁に増殖する。都会の前線から流れ落ちる君の鼓動。僕の指先が殺していく音楽を、君の耳が回収する。君の耳の内容に水滴が付着する。君の耳を中心に空は回っているのだ。すべての影は暗号であり、君の細胞を通さなければ解読できない。君が哲理の波動を哀しんでいるとき、君の哀しみの路上で僕は機械を走らせる。



君の眼に停泊する数論の群れ。僕は君の眼の南極で溺れる視点を殴打している。君には視野を開墾する権利がある。そして視力のベクトルを回転させる権利も。君の血の論証のために僕は諸定理の筋肉を裂かねばならなかった。僕は君の血に深く沈み、事実の粉を調合している。血は空白だ。君の唇で繰り返される夜の片方で、僕は都会に踏まれたまま白んでいく。雨のように降る君の鼓動は、僕の爪に文字を刻んでいく。君の鼓動はいつも昼に遅刻する。君の耳に生えた電流に沿って、僕は錯綜した衝撃を滑らせる。君の耳の最深部は僕の耳の最深部につながっていて、神経の謀略を交換している。僕は君の細胞に立候補してもよい。君の細胞は手の形をして足を構成し、足の形をして手を構成している。



自由詩 探索 Copyright 葉leaf 2011-10-16 05:32:00
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