短歌GOGO
紀ノ川つかさ
あへあへとあへ声あげてアレを出しアレもう終わりあれれあへなし
ふつつかに二日続けて二日酔ひふらつき歩き普通でない日
アリンコがアリガトウなる挨拶しオレはアリかと在りし日思ひ
寝たけれど寝しなに寝耳にミミズ来て眠れなくなりねたしこの夜
糸通しいいところまで通れども一気に取れていとほしと思ふ
日が暮れて被害妄想肥大せりひがごと言ひて僻みけるかな
うるち米売り子のあの子がうるわしくうるさいほどに店をうろうろ
ここはどこ? ここは肉屋だこれは肉小皿に細肉こころにくしか
岩海苔と言われて岩を食べるとは言われなくともいわけなしかな
会っていて植えては折って買ってきて食っては蹴って凝りにけるかな
去って知り吸っては競って剃りにけり勃っては散って釣って取るかな
何人か縫っては練っては乗りにけり這っては皮膚が減って掘るかな
舞ってみて無我夢中で麺を盛りやっぱり茹でるがよろしいですな
ラリっててルルルと霊感ローパワーわぁ女だゾんんん突撃!
いとお菓子フルタのお菓子二木の菓子菓子で仮死していとをかしかな
こちらにはコチコチ凍ったコチュジャンのこちたし瓶が転がりにけり
どかどかと角から角に歩むより車に乗るとはかどかどしかな
泡食って泡だらけのまま阿波踊り泡盛で酔いあわれなりけり
雀の子鈴を鳴らせば寄りにけりすずろなるかなすべて焼き鳥
愛無しのあなたをとてもあひなしと思えど愛があふれけるかな
ビンビンにビール瓶ほど勃ちたれど入れる先無くまことびんなし
浴衣着て愉快な顔で湯に入るゆゆし奴だな裸になれよ
窓辺からマドンナ様が舞い込んでまどふ間もなく舞ひにけるかな
墓場にて墓に対して発火するはかなき奴だな墓は燃えぬよ
星を見て欲しいと言ひて梅干しをむさぼる君はあらまほしかな
詫びるため黴の生えたるワサビ食い媚びを売るとはわびし奴かな
ほいほいとゴキブリホイホイ置いたれど一つも捕れずまことほいなし
ライオンを触りにサファリパーク行きさはるドア開け食われけるかな
おのれこりゃ叫びて斧で襲いけり斧が指示したおのがじしにな
凍てつく日岩にも生える毛が生える言いまくる君いわけなしかな
この雨がやむことなしならやむを得ず傘を買うのがやむごとなしかな
逆上がりさかしあの娘に差し上げたお菓子を無視され逆恨みかな
スレスレのひらひらのミニスカートがゆらゆらもせずつれづれなるかな
こうすればこうなったのだと洪水のごとく悔やむはこうずことかな
サウナでは肴が食えず酒飲めす災難で死にまことさうなし
幽霊が湯屋に自由に出入りして湯船で悠々ゆゆしことかな
悪があるところに人の苦があると愛を探してあくせくあくがる
シジミ汁しみじみ見れば身が無くていみじくいじけみじめなりけり
トコロテンとにかくたくさん詰め込めばところせしためとても絞れず
ナナメ読みして何となく内容が無いと思うはなのめなりかな
月々に次々辛い目に遭って傷つく姿もつきづきしかな
名も聞かず何はさておき舐めさせてなどと言いけるなめしヤツかな
洗い物悪臭あらまぁ干し忘れ急ぎ干すのがあらまほしかな
味が濃いアジの開きの味を抜くなんて行いあぢきなしかな
足がつるそれでも麺をつるつるとたてまつる君鶴のごときか
決然と毛生え薬を使いしも毛虫が生えて毛のけはひなし
刈り過ぎた髪を気にしてカリカリし刈りあとを染めてもかりそめなりけり
割り切れぬ端数をなおも割り勘で払わせる君それはわりなし
新しいあだ名は「棚からボタモチ君」あだ名としてもあだなりと思ふ
在りし日に蟻がたかった有田焼アリクイが来てありがたきかな
開かずの間飽きずに開けずにいたけれど空き巣に開けられあかずなりけり
おとにきく酒はとにかくあとに効く人に訊くなよ自宅のありか
カッコつけ葛根湯を噛んで飲みかこつ顔せど風邪は治らず
割り箸を割りてそののち戻そうとわりなきことを終わりなくやり
短歌詠みビシビシ不備を指摘されわびし語彙でも詫びることなし