残りもの家族
服部 剛
今夜も、仕事から帰った家で
待っていてくれた嫁さんの
台所で、とんとん
野菜を刻む音がする
僕の安月給でやりくりする
我家の食卓
昨日炒めた野菜の残りでつくった
焼きうどんの上で
鰹ぶしがめらめら踊っている
赤ちゃんをだっこする嫁さんと
今日の出来事を語らいながら
昨日よりも出汁の滲み出た
うどんをするするすする
「残りものってうまいねぇ・・・」
「残りものには福があるって言うからねぇ・・・」
安月給で暮らす僕等も、ある意味
社会の残りものかも?しれないが
今夜の食卓に並ぶ
焼きうどんといくつかの
あたり前の顔をした素朴なおかず等で
残りもの家族の僕等のお腹は
「福」で一杯になりました