オレンジ色のゼンマイ仕掛け
乱太郎

夢の中で誰かの手が伸びてきて

グルグルグルグル

ねじまわしの音
目が覚めて
鞄を持ちながら
あっちの会社こっちの会社

くるくるくるくる

回って回ってときたま鞄を叩いてチャーン
来たぞ来たぞとはこれから向かう会社の担当者
赤信号でちょいっとタンマで
横断歩道で並んだ若造は
アルカリ電池を背中にしょって
携帯電話を音も立てずにひたすら打っている
いまどきの若い奴はと思っていたら
天使のような羽を付けた女の子が向かい側を
軽快に走り去っていくではないか
これからは太陽光の時代だな
黒メガネのインテリ風のオッサンがつぶやいた

それでも
変わらぬねじまわし

クックッククククク

音が止まって夢の中
誰かの声が聴こえた気もした

おーい 錆び止めの油どこやった


自由詩 オレンジ色のゼンマイ仕掛け Copyright 乱太郎 2011-10-13 17:04:14
notebook Home 戻る