夏葬
きりはらいをり




十月のがらんどうな空に

ただ風が吹き付ける

風は力尽きた木の葉をさらって

ああ、今度こそ

夏が遠ざかってゆく

私の足元に転がる屍はきっと

現存する最後の夏の証

短すぎる生涯をすべて賭けて

太陽の真下で歌う群れの中に

あの時おまえもいたのだろうか


墓標はなく

手向けに花も置いてやれないが


あの夏、この空の下

蝉よおまえは確かに生きた


携帯写真+詩 夏葬 Copyright きりはらいをり 2011-10-12 15:03:01
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