不眠症とそれに伴う末期的症状について
涙(ルイ)

今夜もまた眠れそうにありません
2時間前に飲んだクスリは一向に効いてくる気配がなく
仕方がないので強いお酒を呷ってみましたが
余計に目が覚めてしまう一方なのです

考えないようにしているつもりでも
やっぱり考えてしまうのです

あの人たちは 何故あんなふうになってしまったのか
どういう育ち方をして あんな大人になってしまったのか
どうしてあの人たちは出会ってしまったのか
そうして どうして私という存在が出来てしまったのか

誰も望んじゃいなかったのに
誰も私の誕生を喜んじゃくれなかったのに

どうして私はここにいるのでしょうか
どうして生きているのでしょうか

憎み合うことしかできない二人
それをただ 見ているより他に方法を知らなかった私

疲れちゃったのよ
生きてるのがめんどくさくなっちゃったのよ
もう十分じゃない
十分生きたし 十分苦しんできた
もう十分でしょ

楽に死ねるクスリはないかと
ネットでいろいろ探してみたり
ドラッグストアで何時間もクスリの物色をしてみたり
なんとか思いとどまって今日まで生きながらえていますが
いつかは実行してしまうかもしれません
それならそれでかまわないのだけれど
私が死んで喜ぶ人間がいるとすると
いや 私が死んでも
なんとも思われないんだと思うと
やっぱり悔しいし 淋しいし
このまま死んでいいのかとも考えたりしますが
そんなことはもう どうでもいいことです

とにかくこの 連日連夜の不眠から早く逃れたいのです
苦しいのです
余計なことばかり考えてしまう自分がもう嫌なのです

贅沢な悩みですか
いい気なものですか
こんな私は やっぱり弱虫で自分勝手で甘ったれの
ただのバカ女ですか

死にたきゃ 勝手に死ねって話ですよね
まったく あなたの仰るとおりです

こんな話をして 本当は励ましてもらいたいだけなんだろ
最初から死ぬ気なんかないくせに
死にたいだの苦しいだの
そういえば誰かが同情してくれると思ってるんでしょどうせ

いい気なもんです
ホントに いい気なものですね

どうしようもないのです
生きれば生きるほど ダメになっていく一方なのです
いくら手を伸ばしても いくらそれを望んでも
愛も幸福も 私の手に触れることさえ叶わない

名前がついていればいいのに
これは私の分の幸福だってことがわかるように

愛もきっと 同じようなものでしょう
バカのひとつおぼえみたいにみんなして愛愛愛愛叫ぶから
それがなければいけないような 
何か悪いことでもしているような気になるけれど
事実 私の知ってる愛は
私が教わってきた愛は
粉々に砕けて そこら中に散らばっていました


深夜1時をまわりました
シンと静まり返った部屋は
ひとりであることを 否応なく思い知らせます

どうか私を助けてください救ってください と 
どうぞ私にはかまわないでください放っておいてください が 
私の心を支配しています


聞いてくれることをいいことに
いらないことまでしゃべってしまって
後悔したり

表へさらけ出していいことと
自分の中に留めておいたほうがいいことと
その判断を過ってしまうものだから
いつだって人に呆れられてばかりです
いつだって人を怒らせてばかりです
嫌われたくないのに 嫌われてしまうばかりです


上手に生きていく方法を教えてくれる人なんて
誰もいないんだし
そんなこと知ってる人もきっといないだろうから
手探りで探し当てていくよりほかないのですきっと
自分らしく生きてく方法を
自分らしく死んでいく方法を


私が私であるということの苦しさ
自分を必要としてあげられない虚しさ
なんだかよくわからないとにかく不安定な自分


みんなみんな消えちまえばいい
自分なんか いなくなってしまえ
いなくなってしまえ
いなくなってしまえ


いなくならないでください
いなくならないで
いらなくなんかないよ
いらなくなんかないんだよ


またエレカシのライブ行こうよ
弥生美術館へ淳一や華宵や夢二の絵を観に行こうよ
アース・ミュージックエコロジーの服を買おうよ
それ着てさ「ツレうつ」観に行こうよ
公園を散歩しようよ



ほら 怖がらずに耳を澄ましてごらん
自分を必要としている声が聞こえてこないかい

それでいいんだよ

それだけで十分 
生きてく理由になる



こんな身もふたもない話でも
誰かが拾い上げてくれるのならば


もう少し もう少し
この世とつながっていられるような
そんな気がするのです


死ぬのなんて
いつだって出来るけど

生きてるうちにやれることは
生きているうちにやっておかないと
早くしないと 時間なんてあっという間に過ぎていってしまう

何が悲しいわけでもないのに 悲しむのはもうやめなさい
それでも泣きたいときは 思いっきり泣けばいい

堕ちてるときは 無理に浮上する必要なんてない
とことん堕ちてしまえばいい

どん底のどん底まで堕ちてしまえば
あとはひたすら這い上がっていくのみよ


死にたくなったっていいじゃない
だって生きてるのが本当につらいんだもの
それが素直な感情なら
否定する必要なんてまったくもってないのです

ただ そこであきらめしまうか這い上がろうとするかは
自分次第なのよ

自分の声を聞いたでしょ
必要だって声を 確かに聞いたでしょ

だったらまだ大丈夫


生き続けるかぎり 人生は勝負の連続なのだから
闘いを挑み続けていこうじゃありませぬか
いまのとこ連敗続きだけれど
負けたくないじゃありませぬか
負けっぱなしの人生なんてもうまっぴらじゃない
勝ちにいきましょう いくといたしましょう
昨日までの弱虫だった自分と
まだ見ぬ未来の自分に


自由詩 不眠症とそれに伴う末期的症状について Copyright 涙(ルイ) 2011-10-11 07:08:30
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