キチガイの楽園
はだいろ


いつものように、
秋葉原のケンタへ寄ってから、病院へ行った。
携帯ショップの前で、
いかにも秋葉原風の中太りの男性が、店のキャンギャルと、
スーツの店員に、なんか、クレームをつけていた。
通りすがりに、中太りの男が、
「あなた、『キチガイの楽園』でしょ、・・・」
っていう台詞がかった言葉が聞こえて、
横断歩道を渡りながら、
なるほど!秋葉原は、キチガイの楽園なのか、
と妙に合点がいった。

彼女がかき氷を食べたいというから、
病院の近くのコンビニをあたってみたけれど、
ガリガリ君しかなかった。
それで、ガリガリ君を買って、戻るとき、
電動自転車のおじさんと、
高級自転車の兄ちゃんが、
すれちがいざまにぶつかったらしく、
腕をおおげさに抑えこんだ兄ちゃんが、
腕のロレックスをおじさんに見せつけて、
「・・・これだ、10万円じゃすまない・・・」
みたいなことを言って、
おじさんは真っ青になっていた。
世の中、キチガイばかりだと思った。

それくらいしか、話すことがないから、
彼女の手をにぎって、
そんな話をした。
平凡なところまで、話のレベルを落とすのが、
なかなか技術がいる。
ぼくだって、十分にキチガイだな。
彼女のほほをなでて、
だいじょうぶ、きっと、もうちょっとだからさ、
とほんとうらしく微笑んでみた。








自由詩 キチガイの楽園 Copyright はだいろ 2011-10-08 19:49:34
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