【 トリコロール 】
泡沫恋歌



  
 青

画用紙に青いインクを零したら
晴れやかな空になった
青いフェルトに涙を零したら
透明の染みになった

道端の石ころにも成れない私は
砕けた夢を抱いて歩いていく

笑えないジョークに顔が引きつって
沈黙することで自分を守っていた
もうあの空に鳩は飛ばない
濁った空の色 混迷の青


 白

渇いた部屋には 白い壁とテーブル
褐色の珈琲に垂らしたミルクは
混ざり合わないまま渦を描いている

虚しく時を刻む時計の音が
私を寂しくさせるから
ねぇ なにか言ってよ!

貴方の笑顔も想い出せなくて
視界からフェード・アウトされていく
消えてしまえばいい 拒絶の白


 赤

愛してると囁く貴方の声に
その頬を赤く染める

背後から抱きしめられて
高鳴るこの胸の鼓動

口移しで飲んだワインは
舌の先で媚薬に変わる

女は牝という獣になった
夜の闇を喰らう二匹の雌雄

貴方がこの身に注ぎ込んだ色
情欲の赤は 血よりに赫く赫く


自由詩 【 トリコロール 】 Copyright 泡沫恋歌 2011-10-07 21:02:20
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