秋風
菜穂

役割を終えた蝉は
ジリジリと焼け付くアスファルトの上で
天仰ぎ、横たわる

蟻はその命を繋ぐため
ワラワラと死骸に上りくる

それが自然の摂理よ

今も昔も変わらず繰り返される
生死の儀式

ならば人も
土に返り再生すべき物だが
世の常識では
空に消えゆく煙と化す運命だ

虫も人間も
生きて死ぬ権利は同じなのに…

あぁ、草木も枯れ始めた
焼け付く日差しはまだあるが
季節は移り始めている

どこか冷たい風も混じり吹く
夏の終わりの夕闇の風


自由詩 秋風 Copyright 菜穂 2011-10-06 19:10:26
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