宿命
吉岡ペペロ

そうやって大切な「もの」を失ってゆく

失ってゆくのはいつも「もの」だ

ぼくが「もの」にしてしまった「もの」なのだ


年甲斐もなくSMに溺れたのは

二十も離れた女と

ふたりだけの秘密をつくりたかったからだ

四五回ほどして女は体とこころのバランスを崩した

体とこころはちがうのだ

体は「もの」だ

こころは「もの」ではない

繰り返す失敗にぼくは宿命を思った

命という形をとって宿っているのは

孤独やそれに裏打ちされた冷たさだ

そいつが「もの」ではない「もの」を「もの」にしてしまう

・・・・・・・・・


そうやって大切な「もの」を失ってゆく

失ってゆくのはいつも「もの」だ

ぼくが「もの」にしてしまった「もの」なのだ







自由詩 宿命 Copyright 吉岡ペペロ 2011-10-06 16:51:35
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