きみの歌声を忘れない
石川敬大




  そんな老朽化した家屋の
  偲ぶ場所
  なんて
  もうこの世の
  どこにもなくっていい
  壊れてしまってもかまいはしない

  ぼくの
  わたしの
  想いでの大地に
  ひっそりと存在する


  綿毛のように
  繊細で
  パワフルだった


  かれの歌声が
  かれの肉声が
  かすかな風にのってやってきて
  ぼくの
  冷えた大地を
  いっときでも温めてくれれば
  それだけでいいんだ




自由詩 きみの歌声を忘れない Copyright 石川敬大 2011-10-05 14:30:37
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